現在、「天草のさりー」の天草市対19才以上市民登録率は約25%で、電子クーポンを活用している他の自治体の平均が約10%であることと比べると約2.5倍で驚くべき比率です。では、もしも登録者数100%になったらどうなるでしょうか?
中村市長が描いた幸せな未来図
今から一年半前の令和2年12月23日にスマートカレッジ一年目の実施報告に伺った時でした。中村五木前天草市長は開口一番
「これから3年間で、天草市のすべての地域でスマホの講座を開いて下さい。特に困っている限界集落を先にお願いします」と、強く懇願されました。
本年の天草市の国勢調査報告では、65才以上の高齢者が3人に1人の割合を示していますが、超高齢化社会の天草市は、年を追うごとに限界集落から消滅集落へと向かう過疎地域がじわじわと広がっています。
このような未来を中村前市長は予感し、どんな僻地に住んでいてもスマホ1つで快適な行政サービスが受けられる仕組みを構築し、医療、福祉、教育、生活、産業など、多岐にわたる快適な市民生活の実現を目指しておられたのだと思います。
悔しくもこの面談から間もなく中村前市長は急逝されたのですが、その強い意志はそのまま馬場昭治現天草市長に受け継がれています。
この度の電子クーポン「天草のさりー」はその具体的な表れで、地元経済の活性化による市民生活の向上を目指して、日本のどの自治体よりも積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)社会の実現を天草市は目指しています。
そこで、もしもすべての天草市民がスマホを活用した快適な生活が実現できたら、何が起こるかを考えてみたいと思います。
将来的には幸せな共助社会
まず、様々な行政の情報やサービスが自宅にいながら受けられます。行政が主催する行事の案内や申し込みもすべてスマホで完結します。転出、転入、住民票の取得などの手続きもスマホ1つでできるようになります。
電子クーポンの将来的な展望としては、直接お店に行かなくてもスマホ1つで買い物ができるようになることです。
実際、スマホを使っている多くの人たちは、日常的にネットショッピングをしています。
例えば、アマゾン、楽天、ヤフー、その他様々なショッピングモールなどで商品を注文すれば翌日には自宅に注文の品物が届きます。ただし、どれほど買い物をしてもその利益はすべて天草島外の業者に吸い取られてしまいますので、地元の経済は一向に潤いません。
しかし、同じ商品でも「天草のさりー」を使って地元のお店で買うと、地元のお店の売り上げが上がって、地域経済が潤い、その分従業員の給与は増えます。
さらに、市民が健康運動に尽力するともらえる健康ポイントも「天草のさりー」でもらえるようになると、さらに市民の意識は高まり健康寿命は延びます。
また、天草市社会福祉協議会が実施している、地域で困っている人のお手伝いをしたらもらえる地域通貨券(ボランティアポイント)も「天草のさりー」と連動することで、ますます市民がお互いにたすけ合う地域活動は活発になるでしょう。
もしもこのような高齢社会が実現したら、天草は日本だけでなく国際社会からも大注目されるでしょう。
それは、自助、共助、公助のバランスがみごとに取れた理想の共助社会であり、世界中が憧れる市民総幸福量が最大化した超高齢社会が実現するのです。
中村前市長が播いた種は、馬場市長によって、着実に育てられ、次第に芽が吹き、やがて大輪の花が咲く道を辿っています。
世界一幸せな高齢社会の実現はいよいよこれからが佳境です。